にきび瘢痕

にきびの瘢痕には大きく分けて、陥没型と隆起型の2種類の瘢痕があります。

にきびが炎症を起こして組織の欠損をきたしたり、炎症の後に瘢痕組織を生じて萎縮をきたしたり、皮下に索状の瘢痕組織ができて牽引したりして陥没型の瘢痕が生じると考えられます。

にきびの炎症で破壊された組織の修復過程が正常に終了しないで、過剰に組織が増大した場合が隆起型の瘢痕になります。

にきび瘢痕の分類

にきびの瘢痕治療において、治療法を選択するうえで役に立つ分類法がいくつかあります。1例として、Jacobらの分類では、陥没型の瘢痕をice pick scar,rolling scar,boxcar scarの3つの基本型に分類しています。

ice pick scarは、アイスピックで刺した跡のように狭くて細い先細り型の瘢痕です。炎症後の組織の欠損による陥没型瘢痕です。boxcar scarは水痘の瘢痕に似た円形から楕円形の境界のはっきりした垂直陥没型の瘢痕です。やはり炎症後の組織欠損による陥没型瘢痕です。

以上の2つの瘢痕は表在組織の欠損によるため、皮膚に緊張を与えても消失しません。

これに対して、rolling scarは、幅が4?5mm以上の受け皿状の陥没型瘢痕で、皮下の線維性組織による牽引で起こる陥没型瘢痕のため、皮膚に緊張を与えることで消失します。rolling scarは、集ぞく性ざそうや嚢腫性ざそうのように皮下の炎症が強い場合に真皮が索状の瘢痕組織で下床に係留されて生じ、加齢によってまわりの皮膚が弛緩してくると係留した部分が目立つようになります。

これら陥没型瘢痕に対して、隆起型瘢痕は、hypertrophic scarとkeloidal scarに分類され、hypertrophic scarはにきびによる皮膚の損傷部に限局した隆起性病変なのに対して、keloidal scarは、はじめの皮膚損傷部を越えて増殖していく隆起性の結節です。

にきび瘢痕発生順序

にきびは、毛包が閉塞を起こし、毛包漏斗部に脂質と角質が充満し、好脂性のアクネ菌など最近が繁殖します。

それによって、単球やケラチノサイトからは炎症性サイトカインが遊離され、線維芽細胞や内皮細胞などの細胞から白血球遊走因子が産生されます。

アクネ菌も白血球遊走因子を産生し、毛包周囲に白血球が浸潤して、毛包壁が損傷すると、毛包内容が真皮に接触して炎症が拡大します。

こうした炎症が毛包漏斗部を中心として表在性で限局された場合はにきび痕は残りにくいといえますが、毛包漏斗部周囲の結合組織に炎症を起こした場合は、炎症の程度によってにきび跡が残ってきます。

最初は好中球中心の急性化膿性炎症から始まって、リンパ球や組織球が入って肉芽腫性の変化を生じ、炎症細胞の主体が形質細胞に変わっていって、線維芽細胞や膠原線維からなる瘢痕組織に置き換わっていきます。

思春期後瘡について

瘡あるいはにきびは、思春期によくできるのですが、特に女性で思春期を過ぎても治らなかったり、思春期を過ぎてはじめてできる難治性の瘡が増加しているといいます。

思春期後に発症する瘡では、高アンドロゲン血症が見られることが多く、男性化徴候のひとつと考えられています。デキサメタゾン抑制試験の結果、副腎皮質由来のアンドロゲンが主に増加しているらしく、思春期?瘡の場合のような通常の皮膚科での治療に反応しないことが多く、ホルモン療法が有効とされます。

月経周期の異常を伴う思春期後瘡の場合は、多嚢胞性卵巣症候群の皮膚症状としての瘡である可能性を考えて、超音波検査などの婦人科的な精密検査も必要とされます。多嚢胞性卵巣症候群の他の症状としては、無排卵性月経異常、不妊、男性ホルモンの過剰による多毛、肥満などがあげられます。にきびが背後に控える大きな病気のサインの場合もありますから、注意が必要です。

思春期後ざ瘡の特徴

思春期後ざ瘡は、特に女性で、思春期を過ぎても治らないにきびや、思春期が過ぎてからはじめてにきびができて治りにくいといった例が増えていて、20?30歳代のオフィス作業などで多忙な女性に多いと言われています。
下顎部の閉鎖面ぽうが主な病変で、頚部、頬部などに丘疹、膿疱、面ぽうなどができて、思春期ざ瘡とはできる場所が異なるとされます。
典型例では、月経前に症状が悪くなり、内分泌学的には高アンドロゲン血症が高率に認められています。

思春期後ざ瘡の治療

思春期後ざ瘡の原因と考えられる高アンドロゲン血症の改善目的に例えば以下のようなホルモンによる治療がなされています。

  • 黄体ホルモン代謝産物のジオール
    ジオールはプロゲステロンの尿中代謝産物で、血中アンドロゲンの低下を期待して使用します。
  • 総合代謝性ホルモン剤メサルモンーF
    メサルモンーFもテストステロン、エストロンなどを含み、血中アンドロゲンの低下を期待して使用します。
  • 経口避妊薬
    経口避妊薬(oral contraceptives:OC)はエストロゲンとプロゲステロンを含み、卵巣性のアンドロゲン以外に副腎性のアンドロゲンも低下させるとされます。

にきびについて

にきびとは

にきびとは、毛孔すなわち毛穴に一致して、米粒の半分くらいの大きさの丘疹が、皮脂腺が多い顔面、前胸部、上背部などに分布してできるもので、尋常性~瘡と呼ばれます。原因としては、皮脂分泌の亢進、男性ホルモンの分泌亢進、にきび菌の増殖による炎症などが上げられており、にきび菌の増殖を抗生物質などを使って抑えても、ホルモン分泌亢進およびそれに伴う皮脂分泌の亢進は治療に難渋することが予想されます。

ただ現在ではピーリングやレーザー治療といった、新しい治療法も次々と開発されているわけですから、そうした治療法も利用してにきびのコントロールについて考えて行きましょう。

もちろんホルモンバランスを崩すような暴飲暴食や睡眠不足など生活習慣の問題や、過度のストレスを避けるなど、にきびができにくい環境も考えていきましょう。

にきびが出来るまで

にきびの始まりは、過剰に分泌された皮脂と毛孔部の角化による閉塞からできる面疱と考えられます。面疱には3種類があり、肉眼では見えない微小面疱、毛包内に埋もれたかたちの閉鎖面疱または白色面疱、黒く見える黒色面疱または開放面疱の3つになります。

炎症を起こしていないにきびは、非炎症性~瘡といい、毛包漏斗部という出口部分の閉塞と皮脂の産生増加からできる面疱ができた状態をいいます。

炎症を起こしたにきびは、炎症性~瘡と呼ばれ、にきび菌の増殖とそれに伴う白血球の増加や遊離脂肪酸の産生が起きて丘疹や膿疱を作っていきます。

にきびの原因

にきびの原因としては以下のようなことが考えられています。

  • 皮脂分泌の亢進
  • 皮脂の貯留
  • 毛包漏斗部という皮脂の出口に当たる部分の角化異常
  • にきび菌の増殖とそのための炎症

にきびを起こす脂腺性毛包は構造的にも機能的にも上記の状態を起こしやすいと考えられています。

例えば、脂腺性毛包は内腔が深くて皮脂の貯留を起こしやすく、脂腺が発達していて皮脂分泌の亢進が起こりやすいとされ、特に思春期にはアンドロゲン分泌の増加が起こって脂腺は増大し、多量の皮脂を産生し分泌します。

それに伴って、毛包漏斗部は上皮の過角化を起こして閉塞し、毛包内に皮脂や角質が溜まって嚢腫状になってコメドが形成されます。

皮脂の貯留は好脂性のにきび菌の生育に適しており、また皮脂分泌の亢進と毛包の閉塞は嫌気性状態を作り出し、やはり嫌気性を好むにきび菌の生育に好条件となっています。